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ディパーテッド

インファナル・アフェア のハリウッドリメイク版を観るのは、もう何度目だろうか? やっぱり、これが最高傑作だと思う。今回はネタバレで書くので、ご注意を。

概略

潜入捜査官であるビリー・コスティガン (レオナルド・ディカプリオ) と、マフィアのスパイとして警察官になったコリン・サリバン (マット・デイモン) が描く、シリアスサスペンスドラマ。香港映画の インファナル・アフェア をリメイクしたもので、大筋はオリジナルの通りであるものの、アメリカらしい雰囲気に仕上がっている。私としては、 インファナル・アフェアダブルフェイス よりも、完成度が高いと思っている。オリジナルのシナリオに敬意を表しつつも、ディパーテッドの良さを書いてみる。以下、ネタバレ。

空きビル

象徴的なビルの屋上のシーン。このビルの屋上で、潜入捜査官を送り込んだボスが殺され、クライマックスでは潜入捜査官も殺されてしまうのは、三作品すべて同じ。細かいところでいくつか違いがあるのだが、もっとも納得できるのは "ディパーテッド" だ。他の作品では 空きビルではない のが、ものすごく気になる。 20 階以上の商業高層ビルの屋上に、そう簡単に出入りできたりはしない と思うから。まして、 殺人事件 (ボスが殺された) の後は、なおさら厳重に立ち入り禁止になってる って…。

ディパーテッドでは 6 階建てぐらいの空きビルなので、屋上に出入りできるぐらいの杜撰な管理でもおかしくはないだろうから、納得感がある。オリジナルにはない、間違えた住所を伝えてしまうという伏線も合わせて、絶妙なアレンジだった。

コステロを殺した理由

コステロが FBI と通じているという疑惑と、コステロが先に発砲したということで、サリバンが衝動的に発砲したという展開になっているのだが、他の作品では、ヤクザからの自立心の芽生えという感じで、最初から殺害を狙っていた感のある描写となっている。そこまでの策略を巡らす人物像の描写はみられず、追い込まれて発砲したという感じに描いている "ディパーテッド" に納得感を感じた。

返してほしいのは、身分より自分

警察に戻ってきて、コスティガンが「返してほしいのは自分だ。」と言うセリフがあるのだが、これは他ではなかったんぢゃないかな? 途中に "自分探し" というセリフも出てくるのだけど、哲学的で、好印象だった。

録音を聞いた理由

コスティガンが「自分に何かあった時には、この封を開けてくれ」とカウンセラーに封筒を渡すシーンがある。サリバンに送りつけた "マフィアの内通者であることを決定付ける証拠" の入った封筒を彼女が開けるのは、差出人に信頼関係が構築できているコスティガンの名前があったから。

オリジナルでは、音響機器屋さんに扮した潜入捜査官が置いていったものだけど、音響機器は恋人のものなので、勝手に聞いたりしないんぢゃないかな?

日本版では、玄関がノックされて、開けたら置いてあったということになっているのだが、気持ち悪いか、危険か…と思って、見ないんぢゃないかな?

ネズミと犬

香港版と日本版では、内通者を犬と呼んでて、ハリウッド版ではネズミと呼んでるのがおもしろい。

封筒の証拠を見つけた場所

警察幹部のオフィスで、マフィア名簿の入った机の上の封筒を見つけて、サリバンが内通者だと確信する重要シーン。身元不明の人間がそう簡単に入れる場所ぢゃないハズだが、ディパーテッドでは警察学校の同期がいたから身元が分かって入れたようだ。だが、他の作品では「なんでオフィスに入れるんだ?」というのが納得できるカットは見当たらなかった。

…という訳で

ディパーテッドが一番よくできていると思うのであった。

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