
大往生したけりゃ医療とかかわるな
過激なタイトルだが、死生観に基づいて過剰医療を指摘した良書。
現代は病院で最後を迎えるのが一般的だが、病院で終末を迎えるのは拷問だと著者は言う。私は自然死を看取ったことがないので、実際のところは分からないが、人は安らかに死ねるようにできていて、自然死は安らかなものなのだそうである。何週間かかけて身体の水分が減ってゆき、二酸化炭素濃度が上がって意識が朦朧とし、脳内麻薬が分泌されて、苦痛なく、静かに最後を迎えるという。
病院だとそうはゆかず、点滴で水分を補給され、酸素吸入され、意識を失うことができないために、苦痛を感じる状態で、いたずらに末期を延ばされてしまう。そして、水分を含んだ遺体は重く、火葬にも負担をかけてしまうとのこと。
老化は病気ではなく自然現象であるということを受け入れ、それまでの生を充実したものにすることを目指す本書の趣旨は、読者の人生を豊かなものに導いてくれるに違いない。
- 大往生したけりゃ医療とかかわるな [kindle版]