
心に入り込む技術
前置きに "元ドイツ情報局員が明かす" とあるのだが、著者は元ドイツ情報局員のレオ・マルティン氏。心理学に基づいた、他人との信頼構築に関する方法をまとめた本なのだが、用心深い犯罪組織の情報を得るための手段なので、机上の空論ではなく、本気の方法論。これがおもしろくない訳がない。
ドイツ情報局が活用している心理学マニュアルに基づいて、信頼を構築する手順を解説している。相手が悪人か善人かに関わらず、信頼構築のプロセスは同じなので、マニュアルに書かれていることは、そのまま我々一般人が明日から活かせる内容だ。そして、事例として書かれている内通者の育成は、スリリングで読み応えがあり、最後まで飽きさせない。
もちろん、我々は内通者を育成したりしないので、そのまま事例を適用することはできないが、臨場感のある信頼構築のプロセスは、読み物としてもおもしろいのだ。
人は信頼している人の言葉は聞くが、嫌いな人の言葉は届かない。だから、信頼を構築することはとても大切なこと。仕事でも日常生活でも。
- 元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術 [kindle版]