"オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く"
膨大なスポーツのデータから、その裏側を読み解くという試み。「今、流れはこっちにある。」ってホントなのか? 「サポーターは 12 番目の選手だ。」と思いたいけど、その影響力はどのぐらい? 同じルールなのに、なぜ、ホームチームが有利なんだろう? …そんなスポーツ界の謎に、データが答える。
スポーツは、プレイする楽しみ、観る楽しみがあるが、現代はデータを読む楽しみという側面もある。スポーツ新聞や専門誌、テレビやラジオの中継なんかも、データの宝庫で、データなしでは成立しないぐらいだ。だがしかし、データというのは都合のいい使われ方をする側面もある。「ここ最近の四打席で三安打。当たっている彼には、一打逆転に期待がかかります。」なんてのはよくある解説だが、たぶん "ここ五打席でも三安打" なのだ (そうでなければ "五打数四安打" と言うだろうから)。四打数三安打なら 75% で、五打数三安打なら 60% な訳だが、わざわざ確率の高い方の数字を使って、視聴者の期待感を煽っているって訳だ。実際のところ、プロ野球選手の打率は 3 割前後なので、60% でも飾っているのだけれども…。
次のプレイのワクワク感は、プロスポーツを観る楽しみの一つだし、嘘をついている分けでもないので、実況中継を否定するつもりはぜんぜんない。「最近の成績は四打数三安打ですが、去年の打率は二割六分ですので、次の打席でヒットを打つ確率は、あくまでも二割六分ぐらいでしょう。」だと、ぜんぜん楽しくなさそうだ。 (^^; だがしかし、チームオーナー、コーチ陣、エージェントたち、そしてデータサイエンテストは、虚飾の数字にだまされている訳にはいかない。…いや、エージェントは都合のいい数字を作って契約金をつり上げたいだろうし、チームオーナーはルールすら知らない人がいたりもするから、そうでもないかもしれないが…。 (><)
ま、それはともかく…。本書は、スポーツ界で信じられていることをいろいろ検証している。審判は敵の味方なのか? そもそもどのぐらい正しい判定をしているのだろう? 相手のチャンスにタイムをかけてリズムを変える作戦は、本当に効果があるのだろうか? ドラフト一位指名に必死になっているが、費用の割に合うのだろうか? …などなど、スポーツ好き & データ好きの人にとってはたまらない内容で、興味深く最後まで楽しめるに違いない。
ただ…。NFL (アメフト), MLB (メジャーリーグ), NBA (バスケット) の話題が中心で、NHL (ホッケー), テニス、ゴルフ、サッカーの話題が少し登場するという感じで、日本人には馴染みの薄いところが、ちょっと残念ではある。日本のスポーツのデータを扱った本だと、さらに楽しそうだ。
- "オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く" [単行本]