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刑務所わず。

仮釈放が終わって刑期を満了した堀江氏が、今まで検閲で書けなかった "塀の中では言えないホントの話" をコミカルに綴った本書。なかなかおもしろかった。

普通に生きている多くの人の知らない世界である刑務所。その中で行われている極悪非道の数々を赤裸々に暴露して…という話ではなく、堀江氏の刑務所内での日常生活を描いたもの。堀江氏が月日が進む毎に "受刑者脳" と化してゆく様子がおもしろい。

社会問題を問うような話題が少しだけあって、それは再犯率の高さについて。多くの受刑者は普通の人だが、出所したとしても社会の偏見により、生きてゆくのが難しいので、再犯率が高いという状況になるだろう…という話。刑務所という制度は懲罰的な意味合いが強いのだろうけど、望ましいのは社会復帰のための更生に力を入れることなんぢゃないか? …と思った。

しかしまあ、東大に入る頭脳を持っている人に単純労働を強いるというのは、なんとも、もったいない話だ。禁固刑を受けても受けなくても "次の手を考える人" だろうから、禁固刑の効果には疑問だし、暴行や強盗などの凶悪犯罪とも違うのだ。特別所得税などの経済的ペナルティの方が、社会全体としてはメリットが大きかったのではないだろうか? あるいは刑務所が事業を行って、その経営を…というわけにはゆかないのだろうが、受刑者の能力を社会に活かす方向だと、出所後の社会復帰もスムーズなので、お互いにメリットがあるように思う。

まあ、おもしろい経験されたようなので、それも糧にしてご活躍されることだろう。

  • 刑務所わず。[単行本]
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