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キングダム・オブ・ヘブン

12 世紀頃のエルサレムの物語を描いた歴史映画。オーランド・ブルームとエヴァ・グリーンという美男美女の共演が映像美を彩る。

アラビア半島の根元にある聖地エルサレム。キリスト教、イスラム教のいずれにとっても神聖なる地。映画は史実通り、オーランド・ブルームが演じるバリアン率いるのキリスト教徒がエルサレムを明け渡すことになるのだが、そこに至るまでの成長、葛藤を描いたフィクション。

エヴァ・グリーン演じる美しい王女シビラは、エルサレム市民を守るため、高潔なバリアンを王位に付けようとするが、崇高な騎士道精神を育んだバリアンは、公平ではない手続きで権力の座を手に入れることを良しとしない潔癖さで、シビラの要求を拒む。だが、その結果、野心家であり武闘派でもあるギーが王位につき、エルサレムは戦禍の渦に巻き込まれることになる。

何が正しくて、何が間違っているかなど、安易に言えるようなことではないが、バリアンの選択によっては避けられたかもしれない争いで、数多くの命が失われたように思われる。高潔なバリアンは英雄として描かれており、けして悪人ではないのだが、だがしかし…。"悪人は一人を殺すが、善人は千人を殺す" (オリジナルは失念) というような言葉を思い出させられた。

ここのところ 'イスラム国' の話題がニュースを賑わせているが、そのルーツを辿っていくと、このあたりの話にも触れることになるだろう。宗教観の薄い我々日本人は理解の難しい側面もあるが、テロとしか見えない彼らの大義名分の片鱗を、もしかしたら理解できる一助となるかもしれない。

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