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放射脳カルトと貧困ビジネス

鼻血が出た騒ぎをきっかけに、本書を見つけて読んでみた。"福島第一原発事故による健康被害の最大の原因は、放射脳カルトのデマである" だそうな。

不安な気持ちは分かるのだが、科学的な話を理解して、事実に基づいた合理的な判断をしないと、不安心理の隙間を狙った詐欺ビジネスのカモにされてしまう。という訳で、本書は、3.11 以降に発生している貧困ビジネスと、その周辺についての本だ。

この本、読んだ方がいいとは思うのだが、クドいんだよねぇ〜。同じ話が何度も出て来る。ゼロゼロ物件詐欺、安物ガイガーカウンター、ベクレル・フリー、そして山本太郎が、何度も何度も登場する。著者の林田力氏には、いろいろ憤りがあるのかもしれないが、ちょっとしつこい。もう少し整理して、シンプルにまとめたら、良書になると思うのだが…。まあ、大きなお世話か。

難しい話 (放射線の原理や、人体への影響など) のすべてを理解しなければならないことはないのだが、安易に他者の判断に委ねるとカモられるよ、ということだけが伝われば、本書の役目としては十分だろう。

本書を読んで、「で、結局、安全なの? 危険なの?」とか「いったい誰を信じればいいんだ!?」とか思うのかもしれないが、その思考は捨ててしまおう。脳を他者に預けることなく、自分で考えて、自分で判断することが大切だからだ。自分で考えることはしんどいことかもしれないが、残念ながら正しい答えはどこにもないし、誰にも分からないのでしょーがない。未来は僕ら一人一人の意思やパワーバランスの集合の結果として選択されることになる。正解のない分岐点で、僕らはどの道を選ぶことになるのだろう? どんなリスクを負って、どんな未来を築いてゆくのだろう?

  • 放射脳カルトと貧困ビジネス [Kindle版]