このエントリーをはてなブックマークに追加

おれのおばさん

あまり小説は読まなくなったのだけど、職場の人に紹介してもらったので、 ひなた弁当 に続いて小説を読んでみた。

【シリーズ】おれのおばさん (集英社文芸単行本)
集英社 (2013-08-01)
売り上げランキング: 38,986

ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介の物語。

…といっても…。真犯人探し…のようなミステリーではなく、一家離散から児童養護施設へ入った少年の生活を描いた青春物語。

愛人 & 横領で逮捕された父。その借金を返済するために、泊まり込みで働く母。その結果、都内の名門中学を退学し、伯母さんの運営する児童養護施設での生活が始まった陽介。

主な舞台が児童養護施設だけに、できれば知らないままでいたいような、不運な人たちの生活がいろいろ登場する。いつ自分がその立場になってもおかしくないような、何気ない日常のすぐ隣にある運命に遭遇した人たちの生活が描かれている。

おそらく著者が描きたかったのは、生き方の選択肢。絶望するような状況の中で、けして楽ではないものの、たくましく生き抜く人たちを描くことによって、読者に現実的な選択肢を見せたかったのだと思う。

物語はリズム良く進んで、何があっても負けることなく、生きぬく気持ちを芽生えさせてくれる爽やかなエンディグが待っている。